Study & Practice

北海道札幌市のプログラマによる技術とか雑記のブログ

「小さなチーム、大きな仕事」を読んでみた

前回に引き続き組織論系の本を読んだので感想を書いていく。

今回は2冊目「小さなチーム、大きな仕事」について

 

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

  • 作者: ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン,黒沢 健二,松永 肇一,美谷 広海,祐佳 ヤング
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/01/11
  • メディア: 単行本
  • 購入: 21人 クリック: 325回
  • この商品を含むブログ (39件) を見る
 

全体的な感想

もっとチームを運用する上での知識やTIPSが載っている本かと思ったけどそうではなくて、心構えや意識的な内容が多かった。初めて見るような内容はほとんどなかったが、バイブル的にたびたび読み返してみると目の前の問題を解決する糸口をつかめるかもしれない。そんな印象を受けた。前回読んだ「エンジニアリング組織論への招待」とは違った理解できないよな内容はまったくなく、スラスラと読むことができた。しかし、難しくなくシンプルだからこそ強力な効果が得られるんじゃないだろうか。これは依然読んだ「SIMPLE RULES」で書かれていた基本的で簡潔な美しいルールの先にこそ素晴らしい成果が待っている。という考えに通づるものがある気がする。

 

SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える (単行本)

SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える (単行本)

 

 「小さなチーム、大きな仕事」は厳格なルールに関する本ではないけど、自分、もしくはチームの判断基準、行動指針として徹底していくべき本だと思った。

印象的だった内容 

顧客を(あなたよりも)成長させよう

 心惹かれた内容はいくつもあったが特別刺さってきたのがこれ。

僕は現在、SESによる客先常駐で仕事をしていてあまりチームとして知見が溜まってどんどん成長する組織の中にいるわけではない。なので常駐先によってはコードは汚いしパフォーマンスもよくない、技術的に成長しようという意思が感じられないようなメンバーも少なくない。そんな状況からもっと技術的に優れたプロジェクトへ移りたい、自社開発の企業へ移ってその中で成長したいと感じることが多かった。今でも自社開発をしたいという思いは変わらないが、チームへの不満をもったままにするよりもそのチームを成長に導くという考えをするべきだった。

たしかに今後のことを考えると自社開発、特に自社製品を持つ企業で経験を積みたいがそれはあくまで今後の方針で会って今すぐにできることではない。結局、今できることをするしかない。そう考えたときに今できるベストのことは客先のチームを成長させることしかないと思う。じゃあチームにどう影響を与えられるかと考えたときに、チームメンバーと比較して僕が優れているのはきれいなコードを書くことや、若い世代の考えを伝えることという結論に至った。きっとチームを成長に導くことができれば、自分にとっても大きな成長、大きな経験になるのだと思う。

無名であることを受け入れる

 今まさに僕がそうなのだが、無名であることは多大なメリットがあると教えてくれた章。有名になる、つまり規模が大きくなり人気がでてくるとリスクが小さい行動をとらざる負えなくなり、保守的にならざる負えない。無名であるというのは成功者であるというプライドを失うこともない。そんなときにこそ他人にあれこれ指摘されずに失敗を繰り返して成長をすることができる。次々と新しい挑戦を繰り返すことこを今すべきこと。自分のことを考えるとやはり失敗したときのリスクが怖くて挑戦ができなくなってしまうが、無名で何も持たない今だからこそ挑戦のリスクは少ない。どんどん挑戦して失敗を重ねていこうと思う。本書では失敗から学ぶことは過大評価されすぎている。という章もあるが、失敗ばかりで成功しない状況と、成功の中に失敗があるのではまるで状況が違う。成功することも大事だが、成功しかないという状況は新たな挑戦ができていないということでもある。無名の今だからこそリスクを負った挑戦ができる。心にとめて日々挑戦していきたい。

まずは作り始めよう

 この章に書かれていることはアイディアなんて持っていても意味がない。なんでもいいから作り始めろということ。僕は将来、自社開発を行う企業で自社製品開発をしたいと思っている。自社製品開発で活躍するには技術力だけでなく、製品を成長させるための知見やアイディアが必要になる。その経験を積むためにまず技術力を身に着けて自社製品を持つ企業に転職する必要があると思っていた、実はそうではない。まず、自分で何かを作ることが何よりも大事で、自分で作ったことがあるという経験が自社製品開発のための大きな経験になるし、技術力の成長にもつながる。そしていざ自分で何かを作るとなったときに、何を作ればよいのかと思ってしまうこともある。この章に例として書かれている通り、一番大事なのは始めることでまずはなんでもいいから作る。作りながらより良い作るべきモノや、作り方を学んでいけばいい。僕自身技術を身に着けようと技術書を読んだり、チュートリアルをやってみたり、Qiitaや技術ブログのTIPSを漁ったりを繰り返してきたが、今やるべきことはオリジナルの製品を作り出すことで、作りながら成長していくこと。なのでこのブログが書き終わったらさっそくブログアプリでも作ろうと思う。前にUdemyで作った掲示板アプリにリプライ機能を追加してみるのもいいかもしれない。

まとめ

 振り返ってみると印象に残ったことは「まずやれ」ばかりで、いかに自分が行動不足か思い知らされる。正直、読む前に期待していた内容とは全然違ったが成果を出すための内容が詰まっていて本当に読んでよかった。今はチームをまとめる立場ではないので僕個人が成長していくためという視点で読んでしまったが、もっとチームの中心を担うようになったときにはまた違った見方ができると思う。前回読んだ「エンジニアリング組織論への招待」も含めて、チーム・組織運用で悩んでいるリーダーやマネージャー、経営者は読んでおいて損はないと思う。また僕のようにいまいちなチームに物申したい。いつかチームをまとめる側になったときのために組織論を学んでおきたいという人には心からおすすめできる書籍でした。

 

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

  • 作者: ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン,黒沢 健二,松永 肇一,美谷 広海,祐佳 ヤング
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/01/11
  • メディア: 単行本
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エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング

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